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『他人に迷惑をかけて生きているのだから他人のことも許しなさい』というインドの教え

 『人に迷惑をかけてはいけない』という言葉に、私はどこか違和感をもっていました。少しひがんだ見方をすれば、『私は人に迷惑をかける存在なのか?』と言う寂しい気持ちになります。そんなときに、知り合いからこのインドの名言を教えてもらいました。

 

 『他人に迷惑をかけて生きているのだから他人のことも許しなさい』

 

 人はもちろん一人では生きていけないので、お互いに迷惑をかけ合って=助け合って暮らすようにできています。お互いに手が回らないこと、一人ではできないことを助け合って、協力し合って生活が成り立ち、社会が成り立っています。

 その現実から考えると、インドの教えのように『他人に迷惑をかけて生きているのだから他人のことも許しなさい』と考えたほうが、お互い大変なことが起きても、「お互い様」と快く協力し合えると感じます。

 

 昨今流行のような「自己責任」という言葉は、社会の中で生きているのにその人一人の責任であるように『迷惑をかけてはいけない』と考えての行き着く先のように感じます。全てが自己責任となると、困ったときも社会の助け合いを求めることができず、非常に殺伐とした関係になってしまいます。それは助け合い、協力を前提とした人間社会にとって非現実的です。

 困ったときに助けを求めることは、当然の権利です。人が困っているときに手を差し伸べるのも、自分も誰かに助けてもらっているからです。そう考えると、困ったときに誰かに相談するときの気おくれや戸惑いもずいぶん軽減されるのではないでしょうか。

 

 一人の人生に起きている事がらは、その社会に起きている問題を写しし出しているといっても過言ではありません。困ったときは迷わず相談できる仕組みが、社会に広く行き渡ってほしいと思います。